会社勤務の後半五年間は、飲食部門でカフェやレストランのマネージャーをしていました。あるとき突然腰が曲がったまま何もできなくなり、タクシーで帰宅したのが、自分の体を再認識するきっかけでした。もともと病院嫌いもあり、以前雑誌で読んで気になっていた『ロルフィング』を受けようと決めるのに時間は要りませんでしたが、予約をしてから初回のセッションまで三ヶ月を待たねばなりませんでした。
セッションが始まってからは、自分の体にもまだこんな感覚があったのか、と驚きの連続でした。思えば腰が動かなくなる以前から、足の裏や背中には、大きな一枚板が入っているような気がしていたのです。七回目のセッションが終わった日に、「そうだ、ロルファーになろう」と思いました。運良く翌年の一月から養成コースの東京クラスが始まるということで、自分も三十歳という区切りのいい年でもあり会社を辞めることにしたのです。社長への報告は、マネージャーミーティングの最中にしようと決めていました。飲食部門の報告の順番が回ってきたとき、ためらわずにそのことを発表した直後、一瞬場が白んだのを今も鮮明に思い出せます。そしてその後の社長のコメントも。「おまえはそういうのが向いているよな。」
そんないきさつから現在に至っておりますが、もともと体のことが好きで体育学を選び、できることならプレイヤーとして生きていきたかった身ですから、その後もずっと意念は続いていたのですね。この手技(ロルフィング)は、スポーツ選手のパフォーマンス向上のサポートができると信じていますし、私自身つねに人間の構造と機能に関して、畏敬の念をを持って取り組んでいます。皆さん一人ひとりがすべて、体を良く機能させるべきシステムを持っています。それを目覚めさせるか、もしくは使わないで痛みに対し局所治療という方法でごまかし続けるかは、本人の選択です。決して現代医学を否定するばかりではありませんが、正直そのように思えることが多すぎるんじゃないかと、そんなふうに考えながらやってます。 |